JOMON - SPIRAL
今わたしはわたしが住む村の小さな美術館の小さな部屋で、かつてこの村に暮らしていた人々が作った土器を目の前にしている。
その土器にはたくさんの螺旋模様が刻まれている。
いつか読んだ本に書いてあった。この螺旋模様は当時の人々が抱いた、死後再び生まれ変わることへの願いだと。
わたしは知らない。この螺旋が本当に生まれ変わりへの願いを意味するのかを。
わたしは知っている。この土器はかつてその時代の人々によって捨てられ、壊され、この村の地中深い闇に長く眠っていたところを、私たちによって掘り出され、継ぎ合わされ、再び命を吹きこまれたことを。
この土器はいつの日か再び光を浴び、誰かの眼差しに出会うことを待っていた。
そして、5000年後の子孫であるわたしが今向かい合っている。
螺旋の囁きが聞こえそうなほど近くにカメラをセットする。
時の果てに螺旋の渦と自分が共にある疑いようのない今という瞬間をフィルムに刻む。